現在の日本では、
不動産の購入や売却を不動産会社に仲介を依頼した時の仲介手数料の上限は、
宅地建物取引業法という不動産を規制する法律の中で次のように定められています。
- 売買価格が200万円以下の部分については、取引額の5%以内
- 売買価格が200万円超400万円以下の部分については、取引額の4%以内
- 売買価格が400万円超の部分については、取引額の3%以内
(いづれも別途消費税)
取引額が400万円を超える場合は、上記の3段階の計算をまとめて、
(売買価格×3%+6万円)×1.1(消費税)
と簡易的に計算できます。
さて、不動産の仲介手数料率が現在体系になったのは一体いつからなのか?少し調べてみました(以下、図解不動産業『不動産業の歴史入門』参照)
そもそも日本においては、戦前までは、不動産業に対する免許や取締りは、国としての法律はなく、不動産業者の多い府県による規制がされているだけだったようです。
また、仲介手数料率については、各府県の規則の細則で定められていましたが、各府県でバラバラだったようです。
例えば、東京と大阪の売買仲介の手数料率は、
東京では売買価格が
- 千円以下は6%以内(50円未満まで)
- 5千円以下は5%以内(200円未満まで)
- 1万円以下は4%以内(千円未満まで)
大阪では、
- 3千円未満は6%以内(150円未満まで)
- 5千円未満は5%以内(200円未満まで)
- 1万円未満は4%以内(300円未満まで)
だったようです。
そして、戦後に、国の法律として『宅地建物取引業法』が制定されましたが、
当初は『手数料率は各都道府県知事が定める』と規定されていて、全国でなんと10もの手数料率表があったようです。
県をまたいで取引する時など、うっかり手数料率を間違えたりしなかったのでしょうかね。
それはさておき、その後、大都市と地方の間の手数料率の格差に対する不満を持った地方業者の要望を聞き入れる方向で、
昭和45年(1970年)に、東京など手数料率の高い率で全国で一本化されたそうです。
私が生まれたのが昭和47年(1972年)なので、
そんなに昔のことではなかったんだな、と改めて思いました。
今当たり前に感じていることであっても、その歴史を振り返ってみると、そんなに昔にできたものではない、ということにたまに気付き驚かされることがあります。
逆に言えば、今当たり前のことであっても、今後大きく変わることは十分にありえる、ということなのではないでしょうか。
不動産業界に身を置く私としては、
どんな世の中になろうとも、自分に依頼や相談を寄せてくれたお客様の信頼に応えられるよう、
常に顧客目線で誠実な対応を心がけるとともに、様々な学びを今後も続けていきたいと改めて思いました。