お客様が本当に求めていることを大事にする接客

お世話になっている先輩の不動産会社社長から、あるご年配の方が、再開発の立ち退きで、近隣のマンションを探す手伝いをしている時の話を聞きました。

ご希望条件に合いそうな物件を、何件かご紹介したそうですが、その中で、そのご年配のお客様は、高層タワーマンションの高層階のお部屋がお気に召されたとのこと。

ただ、先輩社長は、例え高層マンションにするにしても、低層階の物件を強くお勧めしたそうです。

その理由は、先輩社長のご子息がつい先日まで、東京湾岸エリアの高層タワーマンションに住んでいたのですが、昨年の大型台風の時、とても不安な思いをされたことを身近でよく知っていたからだそうです。

ご子息は、高層マンションといっても比較的低層階に住んでいて、かつそのマンションには直接の被害は出なかったのですが、

近隣の武蔵小杉のタワーマンションなどにおける大混乱のニュースを見ていて、とても大きな不安を抱えられたようです。

高層マンションでは何が大変かというと、やはりエレーベーターが停まってしまった時です。

高層階の住人は日常の買い物もままなりません。特に、足腰の弱くなってきた高齢者ともなるとお手上げになってしまう可能性があります。

先輩社長は、お客様の心が大きく傾きかけていたタワーマンション高層階の物件について、お客様に対し、身近で聞いていたご子息の体験談をお伝えし、特にそのお客様がかなりの高齢で、終の住まいを探されているということからも、もう一度、検討し直すように説得されたそうです。

普通の不動産営業マンであれば、お客様がその気になっている物件に対して、あえて再考を促すようなことは少ないのかもしれません。ましてやそれが「億ション」ともなる高額物件の取引においては。

でも、私はその話を聞いて、先輩社長はとても立派だな、と思いました。

我々、不動産屋が売るのものは、お客様が求めている建物や土地といった「不動産」かもしれませんが、

お客様が本当に求めているものは、「不動産そのもの」というよりも、そこに住むことによって得られる「快適さ」や「安心」、それに「末永い幸せ」なのだと思います。

だからこそ、表面的にはお客様の意に反することをご意見し、さらに不動産屋として大きな利益を失う可能性があったとしても、お客様の身になって「お客様の幸せ」という観点から、正直に意見を申し上げる。

私も、日々お客様とこのような会話をしていきたい、と改めて思いました。