賃貸トラブル回避の小さなヒント4(入居者に明渡しを求める際のポイント)

本日も昨日に引き続き
先日の賃貸管理セミナーで学んだトラブル回避のヒントです。

賃貸物件の管理を行っている上で、これはとても残念な話ではあり、本来ならばできるだけ避けたい話ではありますが、

入居者との間で、これはもうどうにも賃貸を続けていくことは不可能だ、退去してもらうしかない、という事態になることがあります。

これには大きく分けて2つのトラブルがあります。

1つ目は、入居者の金銭債務不履行のトラブルです。

その代表的なケースとして、

家賃の滞納が続いているケースで、何度督促しても改善されず滞納が続いているというケースです。

2つ目は、それ以外のトラブルです。

主に契約違反のトラブルで、例えば、部屋の中で夜中に毎日楽器を演奏して、隣の部屋の住人や周辺住民からもクレームが来て、注意を促したにも関わらず、何度注意をしても改善されない、などというケースです。

さて、上記のようなトラブルは、家主や管理会社の担当者であれば、何度か経験されている方も多いとは思いますが、

セミナーの中で、家主側の訴訟代理人として延べ2,400件以上の経験のあるベテラン法律家の講師いわく、そのご経験から、

最終的に裁判所にお世話になった場合には、

1つ目の「家賃滞納のトラブル」については、明渡しの判決を出す傾向にあるが、

2つ目の「家賃滞納以外のトラブル」については、明渡しの判決を中々出さない傾向にある

とのことです。

裁判所としては、証拠を積み重ねていって、貸主(家主)と借主(入居者)との間における「信頼関係が破壊」されていることを証明しないと中々判決を出してもらえない、とのことです。

そのためには、深刻になりそうなトラブルが起きた際には、まずは入居者に書面を出して改善を求め、それを地道に積み重ねていく、ということが大切とのことです。

私の会社でも、時々、管理している物件以外の家主さんから、このようなトラブルの相談を突然受けることがありますが、

その際、ほとんどのケースでは、口頭では注意を促しているけれども、入居者からはなしのつぶてであったから、その後はほったらかしにしていた、というケースが多かったように思います。

特に、家賃滞納等の金銭債務のトラブル以外のトラブルにおいては、家主サイドとしては改善を求める行動を中断せずに継続するとともに、書面による催促とその証拠の保存が、その後の法的解決における重要ポイントとなることを忘れないでおきましょう。

しかし、何はともあれ、入居者との間の日々のコミュケーションを密にすることこそが「真の信頼関係」の構築につながり、ひいてはこのような最悪の事態を未然に防ぐことにつながる、ということを自分自身肝に銘じておきたいと思っています。