賃貸トラブル回避の小さなヒント5(家賃保証会社の保証内容と倒産リスク)

本日も先日の投稿に引き続き
昨年12月に参加した賃貸管理セミナーで学んだトラブル回避のヒントです。

昨今のように家賃保証会社の利用が普及するまでは、家賃滞納等(保証会社によっては弁護士費用や残置物の撤去費用、原状回復費用も保証する契約内容もある)のリスクについては、連帯保証人によって保証してもらった上で賃貸借契約を締結していましたが、ここ最近は家賃保証会社の利用が一般的になってきました。

その中で、家賃保証会社を利用するにあたっての注意点について、セミナーで賃貸トラブル解決のベテラン法律家の講師より教えて頂いた事を含めて幾つかのポイントをお伝えします。

1.保証タイプの確認~「代位弁済」方式?「収納代行」方式?

まずは、家賃保証契約の保証内容を事前にきちんと確認しておくことがとても大切とのことです。

例えば、保証内容のタイプが、

家賃の滞納が発覚した後に、保証会社に対して滞納を報告して滞納家賃の弁済(入居者に代わっての家賃の立て替え払い)を請求する、後払いの「代位弁済」方式なのか?

それとも、家賃の集金まで保証会社が代行する、つまり入居者による家賃の入金の有無に関わらず保証会社が家主に対して家賃の入金を行う、前払いの「収納代行」方式なのか?

現時点では「代位弁済」方式の方が多いと思いますが、弊社でも「代収納代行」方式を利用することもあります。

さて、「代位弁済」方式の場合については、その請求について免責期間が設定されていて、その期間内に請求を行わないと保証(弁済)を受けることができなくなってしまうため、免責期間や免責事由の事前確認がとても重要になってきます。

一方、「収納代行」方式の場合は、集金代行の手数料は別途かかってきてしまいますが(一般的には家賃引き落とし時に入居者負担)、滞納が発生する度に保証会社へ報告し、代位弁済請求を行う必要がないため、手続き的には楽であり、保証会社ねの報告が遅れてしまったり、忘れてしまったりしたために、免責期間を超えてしまい、弁済を受けられなくなってしまう、というリスクを回避することができます。

2.保証会社の倒産リスクとその対策のポイント

保証会社が倒産した時のリスクについてです。

2008年に大手家賃保証会社が倒産した時は、業界の中で大きな影響がありましたが、昨今のコロナ危機による経済環境の急激な悪化で、今後このような事態が起こらないとは言えなくなってきました。

そこで、仮に保証会社が破産した場合、上記2つの保証方式では、家賃保証はどうなるのでしょうか?

まず、「代位弁済」方式の場合は、保証会社の倒産により、保証契約が消滅してしまうため、滞納が発生した場合は家賃の弁済(保証)が受けられなくなってしまうということがリスクであり、逆に言えばリスクはそれだけになります。

一方、「収納代行」方式の場合には、保証会社の倒産により、家賃が家主に入金されなくなり、さらに入居者が家賃を保証会社へ入金してしまうと、家主としては家賃の回収が不可能になってしまうという危険性があります。

そのため、セミナーの講師の先生いわく、

保証会社の倒産情報が出たら、直ちに入居者に連絡を入れて、家賃引落し用口座の残高をゼロにしてもらうよう連絡を入れてください

とのこと。

またそれと同時に、保証会社倒産時には、家賃の振込先を家主または管理会社に変更してもらうよう入居者に連絡を入れることが必須でしょう。

そのためにも、家主や管理会社は、このような事態が起こる前の平時に、

所有する物件や管理する物件が利用している家賃保証契約が、「代位弁済」方式なのか?それとも「収納代行」方式なのか?を調べて記録し、いざという時に該当物件の保証方式が何なのか?がすぐに分かるようにしておき、すぐに事後の対策を打てるように準備しておくことが事前の対応のポイントとのことでした。

3.まとめ

賃貸管理トラブル解決のベテラン法律家の講師いわく、

「家賃保証会社がついているからな~」

といって、実際にトラブルになるまで、家主だけでなく、管理会社の担当者も、保証内容の確認を一切していないケースが見受けられるので注意してください

とのことでした。

以上、家賃保証会社を利用する時のトラブル回避の小さなヒントについてお伝えしましたが、何はともあれ、

家賃を滞納しない人に入居してもらうこと

が一番の対策であることは言うまでもありません。

そのためにも、

  • 家主や管理会社による適正な入居審査を行うこと
  • 適正な審査を行う保証会社を選定すること

が大切になってくるもの思います。

また蛇足ですが、原点に還って、保証人と保証会社について改めて考えてみることも重要ではないかとも思います。

下記は、私が運営しているもう一つのブログの記事になります。

事業用のテナント物件を専門としたブログですが、考え方は一般の賃貸住宅にも十分当てはまると思います。

よろしかったらご参考までにご覧ください。

貸店舗・貸事務所などテナント物件の保証金(敷金)と保証会社利用の考え方