業務の効率化と営業の効率化のギャップ

不動産業者間のやり取りについての話なのですが、

ここ最近、物件の内覧の受付をインターネットサービスを使って自動で受け付けるケースが増えてきました。

これまでは、仲介会社がお客に物件を紹介した後、内覧を手配する場合、

その物件を管理している管理会社に電話やファックスで内見の依頼をする、という流れでしたが、

最近は、仲介会社が管理会社に電話をすると、

うちでは『○○』という内見予約用のシステムを使っているので、インターネットでそのシステムを探して、そこから内見の申込をしてください、

と言われて電話を切られてしまう、そんなケースが多くなりました。

良い顧客を沢山抱える年配の仲介会社の担当者さんの中には、頭を悩ましたり、怒っている方もいました。

顧客に物件を紹介した仲介会社の担当者がインターネットに慣れた人ならまだしも、

ある程度年配の担当者なら、その予約サイトを探して、かつそのサイトの会員登録をしてから、そのサイトの中から該当物件の管理会社と物件を探し出して、それでやっと内見の予約をする、という流れになるため、

耳にする話としては、そこまで辿り着けないで諦めるケースも発生しているとのこと。

なんとももったいない話です。

また、目の前にお客様さんがいるケースで、せっかく電話で内見申込をしているのに、そのようにドライに案内されて、かつ不慣れなインターネットの内見申込をサイトに手間どうようなら、正直そのような対応をされる物件は避けたくなる、という話も耳にしますし、私も全くそう思います。

そうは言っても、お客様からどうしてもその物件を希望された場合は、頑張ってみるのですが・・・。

さて、内見申込サイトを使った私の感想としては、

正直、物凄いとっつきにくいことは確かですが、慣れてしまうととても便利、というものでした。

やはり慣れるまでは、サイトの使い方を把握するだけで四苦八苦してしまい、無駄に膨大な時間を使うことになってしまいます。

しかし、いざサイトの使い方に慣れた後は、感じの悪い通り一辺倒の不動産会社の事務のお姉様方と話さなくてもいい!というのがなんとも言えないストレスの軽減になり(笑)、それはそれで良いものだな、とも思いました。

ただ、正直言うと、電話でやりとりできる方が圧倒的に早いだけでなく、その他の付随情報も一遍にやりとりできるため、効率が圧倒的に違うと思います。

やはり、現状では、人件費を削減したいと言う、供給側の論理が強く働いていることが鮮明であり、それ以外の本来の顧客目線の業務の効率化とは程遠い状態であるため、今後は業界を上げての改善が待ち望まれます。

そんな中で、不動産仲介の業務支援で圧倒的なシェアを誇るアットホームが、内見時の不動産業者間のやり取りをオンライン化するシステムの開発に着手した、というネットニュースの記事(2021年2月3日『R.E.port』株式会社不動産流通研究所)を発見しました。

この記事だけでは詳細は分かりませんが、これまで他社がやっていたサービス同様のインターネットによる自動内見予約システムのようです。

やはり、民間会社といえども不動産業界にとって半ばインフラのようなガリバーカンパニーが同様のサービスを提供するということで、インパクトは違ってくるのではないかと思っています。

すでにアットホームが提供する従来からのシステムやサービスは、大手だけでなく、地域の小さな不動産会社にまで幅広く浸透しているため、

新しい内見予約システムも業界の共通インフラ的な存在として浸透してくるようになれば、認知度も上がり、仲介会社サイドと管理会社サイドのシステムの採用やITリテラシーの差が小さくなってくるのではないかと期待しています。

ただ、願わくば、アメリカのように、日本で言えばレインズのような公的機関が運営する不動産流通の共通インフラの中に、このようなシステムが装備されるような時代に早くなってもらいたいと思っています。

現在は、業界で働く者は若者からベテランまで多種多様であるにも関わらず、新しい技術と従来からのやり方が混ざり合う過渡期の時代であるため、様々な意味でストレスが溜まりやすい状態ですが、

ここはやはり原点に立ち返って、エンドの顧客にとって、何が最も大切なことなのか?何を効率化して何を残すべきなのか?を考えながら、次の時代を担うシステムを検討、構築していく時期なのではないかと思います。