民法改正 賃貸借契約の現場における連帯保証人の極度額設定の波及効果

コロナ危機に隠れてしまいましたが、今年の4月から改正民法が施行されました。

債権法が改正され、不動産取引の世界では大きな変化がありました。

賃貸借においては、保証人に関して、実務に大きな影響を与える改正がありました。

概要としては、個人の連帯保証人が保護がされるようになりました。

不動産の賃貸借で例えば、

今までは、連帯保証人の債務は、主債務(賃借人の債務)と同じ内容になるため、長期契約である賃貸借契約においては、保証を引き受けた時点では債務の総額、つまり限度額が分かりませんでした。

しかし改正後は、

極度額、つまり保証債務の上限を設定しないと、個人の保証契約は無効になるように変更されました。

ところで、保証人を保護するという観点以外でも、とても大きな変化が予想されています。

今までは、極度額を定めないで良かったため、つまり上限額のない保証債務を引き受ける必要がありましたが、

改正後は、極度額という連帯債務の限度額が設定されるため、ある意味、将来の負担額の限界値を把握できるようになりました。

ところが、保証人にとっては良いことてはありますが、実務的には大きな変化が予想されています。

これまで契約書等に極度額を定める必要がなかったため、契約時点では、将来の発生する可能性のある保証債務の金額が表に出てくることはありませんでした。

極度額という限度額を設定する改正後の保証契約よりも、無制限の連帯債務である改正前の保証契約の方が、保証人にとっては厳しい内容でした。

しかし、契約書に極度額という目に見える金額が記載されていないがために、スルーされて、その債務の大きさに意識が向きにくい傾向にありました。

改正後は、将来引き受ける可能性のある保証債務の限度額が設定されるという、保証人にとってはプラスになるにもかかわらず、

数字が表面に出てきてしまうことによって、その具体的な金額のインパクトによって、逆に保証人になることを敬遠していまうのではないか

と改正前から言われています。

それによって、保証人のなり手がいない借主は、保証会社を利用するケースが増えてくるだろうと言われています。

ただ、保証会社を利用するということは、保証料がかかり、借主の負担が増えることにもつながります。

また、保証会社の保証だけではカバーしきれない賃貸における連帯保証人の役割としては、人的保証や身元引き受け人的な保証がなくなると、人的又は物理的なトラブルをカバーしきれないのではないかとも思います。

そういった意味では、賃借人や物件の特性に合わせた保証を検討していくことが大切と考えます。

今のところ、私の仕事の現場においては、上記のように本来の民法改正の趣旨を説明することによって、極度額の設定やその金額について、特段のご意見は頂いてはいませんが、

今後も法改正の趣旨を丁寧に借主や保証人に説明することが重要だと考えています。